「ボケてりゃオシャレ」じゃない!流行の映像テクニックの正しい使いどころ

「ボケてりゃオシャレ」じゃない!被写界深度の浅い映像の正しい使いどころ

今回は、浅い被写界深度やテンポ重視の編集etcに代表される“オシャレな映像表現”の使い方について、上中とウダちゃんが語ります。
その映像、かっこよくは見えるけど、本当に「伝える」ために合ってる?
見栄えと機能性のバランスを、プロの視点で紐解きます。


浅い被写界深度は、本当に万能?

ウダちゃん:最近SNSとかでも、背景がすごいボケてて“いい感じ”の映像って多いですよね?
あれって「被写界深度が浅い」ってやつですよね? 映像っぽくてカッコイイな~って思うんですけど。

上中:そうそう、浅い被写界深度は映像的に“映える”技術だね。
被写体だけを際立たせて、背景をぼかすことで視線を集めることができる。
だけど、情報を“絞る”効果がある分、見えてほしい背景情報がぼけて伝わらなくなることもある。


じゃあ深い被写界深度って何のためにあるの?

ウダちゃん:じゃあ逆に、全部にピントが合ってる「深い被写界深度」って、ちょっと地味じゃないですか?

上中:確かに目立ちはしないかもね。でも、全体を見せる=全体を“伝えられる”ってこと。
例えば製造現場とか、背景にある設備や人の動きまで伝えたい時は、深い被写界深度が圧倒的に有効。

つまり、浅い=感情・雰囲気にフォーカス。
深い=情報・文脈を丁寧に見せる。


テンポの速さは情報伝達を妨げることがある

ウダちゃん:あと、最近は1カット1秒もないくらい、めちゃくちゃ短いカットで繋ぐ映像もよく見ますけど…

上中:テンポ重視の“カッコイイ映像”ね。雰囲気ムービーとかには合ってるけど、情報を伝えたい時には向いてない。
製品紹介や企業紹介では「何が映ってたか分からない」映像は失敗なんだよね。


YouTubeで流行ってる“カット刻み編集”の功罪

ウダちゃん:そういえば最近、YouTube動画で話してるだけの映像でも0.5秒ごとにカット切り替える編集ありますよね。
あれってどう思います?

上中:それは「トークが主役」の動画なら効果的。リズムで飽きさせない技術だよね。「ん~」とか「え~っと」とか間を省く意味合いもある。
でも、見せるべきモノや映像があるコンテンツでやると逆効果。何が映ってたか伝わらない。

つまり、テンポで引っ張る編集は「話芸勝負」の構成には向いてるけど、映像そのもので情報を伝える必要がある動画には不向き。
そこを履き違えると“かっこいいけど何も残らない”映像になっちゃう。


まとめ:かっこよさよりも「伝える意図」で設計する

オシャレ映像が悪いわけじゃない。浅い被写界深度も速いテンポも、効果的な“技法”です。
でも、その手法を「どんな目的で使うのか」が明確でないと、伝えたい情報が置き去りになります。

視覚演出は感覚で選ぶのではなく、「伝えたい内容」と「視聴者の理解速度」に合わせて設計すべき。
見せる、伝える、感じさせる——それぞれのゴールに合わせて、技術もテンポも最適化する。
それが、プロの映像制作だと思います。

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