今回は、製品開発そのものにおける「差別化」と「付加価値」の作り方について、上中とウダちゃんが対話形式で掘り下げていきます。「市場に選ばれる製品」はどのように生み出されるのか?そして映像が果たせる役割とは?そんな疑問に向き合います。
スペックで差がある商品は自然に売れる?
ウダちゃん:
上中さん、以前に“似たような商品をどう見せるか”って話のブログを掲載しましたよね。その時は、製品に内在する「ストーリーを語れ」というお話でした。今回は“そもそも中身で差をつけてる”製品はどうやって生まれるのか?ってことですよね?正直、そんなに簡単に「他と違うもの」って作れるものなんですか?
上中:
「スペックで圧倒する」とか「技術で突き抜ける」っていう差別化は理想だけど、そう簡単じゃない。僕だって映像を仕事にしている以上、常に向き合っているテーマだよ。でも確かに、世の中には“中身そのものが勝負できる商品やサービス”が存在している。
売れる仕組みを“構造化”している会社、キーエンス
上中:
とはいえ、どんなに素晴らしい機能や品質があっても、それを“売る仕組み”が整ってなかったらドカンと売れるなんてことは難しいと思う。そこで思い出してほしいのが、あのキーエンスなんだよね。
ウダちゃん:
あー!“営業が強い会社”ってよく言われるところですよね。営業だけじゃなく「世界初の製品」を作り出したり製品力もすごいっていう話も聞いた事あります。・・あんまり分かってないですけど笑
上中:
このキーエンス、実にマーケットの声を製品開発に取り入れるのがうまい会社なんだ。営業がヒアリングしてきたニーズを製品開発に反映させるサイクルができている。さらに、営業トークやマニュアル、提案資料の設計まで“売れる流れ”が全部仕組み化されてる。つまり製品の強さを、構造的に支える仕掛けがあるってことなんだ。
プロダクトアウトとマーケットイン、何が違う?
ウダちゃん:
市場の声を製品開発の種にする、「マーケットイン」と言われる考え方ですよね。“プロダクトアウト”と“マーケットイン”って、よく聞くけど、どっちが正しいんですか?差別化っていう視点で言うと…?
上中:
どっちが正解というより、「立ち位置が違う」と捉えた方がいいかも。プロダクトアウトは「自分たちの技術や強みから発想する」アプローチ。だから革新的な技術が生まれることもあるけど、お客さんが求めてない機能まで載せてしまうリスクもある。
ウダちゃん:
あー、「これもできます!あれも入ってます!」って言われても、「それ、使わないんだけど…」ってやつですね(笑)
上中:
まさに。いくら優れた技術でも、相手にとって“不要な機能”は付加価値にならない。むしろ“ノイズ”になってしまうこともある。
ウダちゃん:
じゃあ、マーケットインはその逆で、「必要なものだけ作る」ってことですか?
上中:
そう。ただし注意してほしいのは、マーケットインは「オーダーメイド」という意味ではない。複数の顧客のニーズを拾い上げて、共通項を抽出して、汎用性のある商品を開発する考え方。結果として横展開できて、利益率も高くなりやすい。一番の強みは、「これなら買うよ」と言ってくれるニーズを先に集めてから作るから、作ってから売れないってことが起こりにくいってこと。
製品力があるほど“伝え方”が大事になる
ウダちゃん:
なるほど…。。じゃあ製品自体がめちゃくちゃ凄くて差別化できてるなら、あまり映像が役立つこともなかったり?
上中:
そうとは言えないと思うよ?なぜなら「世界初」「業界初」みたいな、本当に「初ずくし」だったら見たこともないものをどうやってイメージするのかな?特にBtoBの技術系商材なんかは、ただでさえ「説明が難しい」「営業が理解しきれない」「お客様がイメージできない」なんてこともあると思う。
映像は“視覚情報×印象”で伝える
ウダちゃん:
そういうときに、映像が使えるってことですね?
上中:
そう。映像の強みは「豊富な視覚情報」と「印象の強さ」のバランス。たとえば…
- 複雑な動作や機構の視覚化
- 活用シーンのリアルな見せ方
- 機能の“なぜ便利か”という文脈ごとの伝達
これ全部、映像が得意なところ。特に“スペックの高さが伝わらない”商品には、映像が効くんだよね。
ターゲットによって“見せ方”を変える
ウダちゃん:
買ってもらう相手によっても伝え方って変わってきますよね?製品の購入理由って会社によって違いそう。
上中:
そうだよね。同じ製品でも、医療業界と製造業とでは、見ているポイントがまったく違う。だから、相手によって映像の構成を変えるのが効果的なんだ。
たとえば—
- 耐久性を重視する現場には「強度」を前面に出す
- 操作性を重視する業界には「UIの分かりやすさ」や「導入のしやすさ」を強調する
映像は編集次第でこういった“焦点の切り替え”ができるから、製品の魅力を正しく伝えるための最適な手段になり得る。
まとめ
ウダちゃん:
製品自体が優れているケースでも、それをちゃんと伝えられなければ、宝の持ち腐れになることもあるんですね。
上中:
スペックや品質がずば抜けている製品って、本来は“差別化の塊”なんだけど、その価値がきちんと伝わってはじめて差別化になる。
ウダちゃん:
そのためには、製品の強みを整理して、誰に、どう伝えるかを考えることが大事なんですね。
上中:
うん。そして「誰に、どう伝えるか」に対して最適な手段のひとつが、映像。単に“かっこいい映像”を作るんじゃなくて、伝えるべき内容を設計して、見せるべきポイントに絞る。それができれば、製品の魅力も、会社の思想も、しっかり伝わる。
ウダちゃん:
たしかに…。製品に自信がある企業こそ、「伝え方」も大事にしなきゃですね。映像が役立つシーンがありますね。
上中:
うん。ご発注おまちしております(笑)